光源ブースを活用した目視での色評価②(測定機器コラム)

2. 光の特性を表す用語

光とは、電磁スペクトルの一部に含まれる電磁放射のことを指します。一般に「光」と呼ばれるものは、人間の目で知覚できる可視光線(波長400~700nm)を指します。

光源から放射される光を表現するために、以下のような指標が用いられます。

  • 色温度(CT: Color Temperature)
  • 相関色温度(CCT: Correlated Color Temperature)
  • 演色評価数(CRI、Ra)
  • 分光分布(SPD: Spectral Power Distribution)
  • メタメリズム指数(MIVIS)

2.1 色温度(CT)と相関色温度(CCT)

色温度の概念は、物体を加熱すると放射される光の色が変化する現象に基づいています。

ISO/CIE 10526:1991(E)では、色温度Tcを次のように定義しています。

「与えられた刺激(光)と同じ色度を有するプランク放射体の温度」

簡単に言えば、色温度とは、プランク黒体(黒体放射体)が特定の温度まで加熱されたときに発する光の色を基準として、光の色味を表した指標です。

プランク黒体(黒体放射体)とは、すべての光を完全に吸収し、温度に応じて決まった色の光を放射する理想的な物体の事です。

図1に示されるCIE xy色度図では、黒体光源の温度変化に伴う色度の軌跡が曲線として表されており、これを黒体軌跡(Planckian Locus)と呼びます。この曲線上の各点は、それぞれ異なる温度の黒体光源が発する光の色を示しています。

色温度は通常ケルビン(K)で表されます。ケルビンは絶対温度を示す単位であり、0℃は273Kに相当します。

色温度によって光の印象は大きく変わります。

・5,000K以上:青みを帯びた「寒色系」

・2,700~3,000K:黄や赤みを帯びた「暖色系」

太陽光や星の光など、多くの自然光は、黒体軌跡に非常に近い特性を示します。

太陽光や星の光など、多くの自然光は黒体軌跡に非常に近い特性を持っています。しかし、蛍光灯やLEDのような人工光源の中には、黒体放射体と完全には一致しないスペクトルを持つものもあります。このような場合には、相関色温度(CCT) が使用されます。

ISO/CIE 10526:1991(E)では、相関色温度Tcpを次のように定義しています。

「同一の輝度および規定された観察条件下で、与えられた刺激(光)の知覚色に最も近い色を示すプランク放射体の温度」

つまり、相関色温度とは、黒体放射体と完全には一致しない光源について、その見た目の色が最も近い黒体光源の温度で表した値です。

2.2 分光分布(SPD)

光源の特性を表す際、色や色温度だけでは必ずしも十分とはいえません。

例えば、2つの光源が同じ色度座標(x,y)や同じ色温度を示していても、それぞれが発する光の分光特性が異なる場合があり、その結果として物体の見え方に違いが生じます。

そのため、光源や標準光源の特性を最も正確に表現する方法として用いられるのが、分光分布(SPD)曲線 です。

分光分布(SPD)曲線は、可視光領域の各波長において、光源がどの程度の放射エネルギー(放射束)を放出しているかを示したものです。この曲線を見ることで、光源がどの波長域の光を多く含み、どの波長域が不足しているのかを詳細に把握することができます。

なお、評価を照度レベルに依存させないため、この曲線は通常560nmの波長における値を基準として標準化されます。

2.3 演色評価数(CRI)

演色評価数(Color Rendering Index:CRI)は、光源が物体の色をどれだけ自然かつ正確に再現できるかを示す定量的な指標です。

市販の照明製品では一般的に演色評価数(CRI)という名称が使用されますが、正確には以下の表記が用いられます。

  • Ra:平均演色評価数(General Color Rendering Index)
  • Ri:特殊演色評価数(Special Color Rendering Index)
  •  

CRIは、評価対象となる光源の演色性を、基準光源の演色性と比較することで算出されます。基準光源は光源の相関色温度(CCT)によって異なります。

  • CCTが5,000K未満の場合:黒体放射光源を基準とする
  • CCTが5,000K以上の場合:昼光(Dシリーズの標準光源)を基準とする

RiおよびRaの詳細な計算方法は、CIE 13.3-1995技術報告書に規定されています。

演色評価には、マンセル・アトラスの初期版に基づく CIE 1974試験色票 が使用されます。評価対象によって、8色または14色の試験色が用いられます。

  • Ra評価:8色の試験色票を使用
  • Ri評価:14色の試験色票を使用

最初の8色は中程度の彩度を持ち、色相環全体をカバーし、ほぼ同等の明度に設定されています。追加の6色は、特定の色に対する再現性を確認するための補助評価用サンプルです。

2.4 メタメリズム指数(MI)

CIE(国際照明委員会)の出版物 CIE Publication 51.2 では、昼光シミュレーション光源の品質を評価するための手法が規定されています。

可視光領域に対する評価では、5組の理論的な試料ペアが使用されます。それぞれのペアは、標準サンプルとメタメリックサンプルから構成され、標準光源D65におけるメタメリズム指数(MIVIS)は0と定義されています。

評価対象となる昼光シミュレーション光源のMIVIS値が、標準光源D65のMIVIS値から大きく離れるほど、その光源の昼光再現性能は低いと評価されます。つまり、MI値が小さいほどD65に近く、高品質な昼光シミュレーション光源であることを意味します

さらに、CIEは可視領域を対象とするMIVISに加え、蛍光材料の評価用として紫外メタメリズム指数(MIUV)も定義しています。MIUVでは、3組の理論的なメタメリックサンプルペアが使用されます。

図2には、MIVISおよびMIUVの計算式が示されています。

式中のΔEi(Lab*)およびΔEj(Lab*)は、それぞれ第i組および第j組のメタメリックサンプル間における色差を表します。

MIVISおよびMIUVの評価区分は、後述の表に基づいて分類されます。

カテゴリーCIELAB
A< 0.25
B0.25 to 0.5
C0.5 to 1.0
D1.0 to 2.0
E> 2.0

実際には、CIEが定義する標準光源D65に完全に一致する光源は存在しないため、光源ブースにおける課題となるのは、CIE標準光源D65の特性を可能な限り忠実に再現するD65シミュレーターを開発することです。D65シミュレーターの品質は、CIEが定めるメタメリズム指数(MIVIS)によって客観的に評価されます。この指標に基づき、光源の品質はClass AからClass Eまでの品質等級に分類され、Class Aが最も高精度にD65を再現した光源とされています。

図1:CIE xy色度図におけるプランク軌跡(黒体軌跡)

図2:メタメリズム指数 MIVIS および MIUV の計算方法

次のコラムでは、光源ブースに用いられるCIE標準光源についてとBYK-Gardner製光源ブース「byko-spectra pro」について紹介いたします。