漆黒の測定(測定機器コラム)

黒色は石器時代より木炭を基にした最初期の色の一つとして使用されていました。
黒色はほとんど光を反射しないため、測定と評価の難しさは現在に至るまで常に課題であり続けています。一方では、L*a*b*値による評価は限定的にしか適用できないため、専用の指標が必要となります。また、高い性能を備えた適切な測定機器の選定も極めて重要です。
本コラムでは、漆黒における品質管理を、より高精度かつ高い信頼性で実現する方法について解説します。
1.日常生活でみられる黒色
カーボンブラックは長い歴史を持つ材料であり、その生産は人類の初期文明にまで遡ります。
初期の使用例としては、紀元前の中国、古代エジプト、インドなどが挙げられます。
特に15世紀に印刷技術が発明されると、カーボンブラックの需要は大きく高まりました。
現在、カーボンブラックは生活のあらゆる場面で活躍しています。IJプリンターのインク、天然ゴムおよび合成ゴムの補強材、さらには導電性プラスチックの機能材として広く使用されています。
中でも最も代表的な用途は、塗料やコーティング、プラスチックにおける顔料としての使用であり、無機顔料や有機顔料よりも高い着色力を持つため、より深い黒色を付与することができます。
つまり、「黒色」と一口に言ってもその性質は一様ではありません。
2. 黒さの定義 ― ジェットネス指標
一般的に黒色とは、可視光が存在しない、または完全に吸収された状態によって生じる色です。
カーボンブラックの主要メーカーは、最大で99.98%の光を吸収する顔料を販売しています。
コーティングなどの媒体における吸収係数が高いほど、得られる黒さ(My値)は高くなります。
黒には、青みまたは赤みといった「アンダートーン(色味)」が存在します。
純度の高い漆黒において、青みを帯びた黒は赤みを帯びた黒に比べて、より深く・濃く・鮮明に知覚されます。そのため、同じ黒さ(My値)であっても、アンダートーン(dM値)が異なる場合、視覚的には異なる黒として認識され、青みの黒の方がより深く感じられます。
この理由から、自動車塗装のトップコートなどの工業用途では、青みのある黒が好まれる傾向にあります。このような視覚的な黒さを表す指標を「ジェットネス(Mc値)」と呼びます。
黒さ(My値)は三刺激値Yおよび視野角度10°条件に基づいて算出され、主に明度のみを評価するものであり、色味は考慮されません。
一方、視覚評価においてはアンダートーン(dM値)が重要な影響を及ぼすため、色相を考慮した黒さ(Mc値)を併せて評価する必要があります。
- Mc値:青みが強いほど高く、赤みが強いほど低くなる
- dM値:McとMYの差で定義されるアンダートーン
- +の値:青み
- -の値:赤み
これらの指標(My、Mc、dM)は、ISO/DIS 18314-3およびDIN 55979で規定されています。

次のコラムでは、漆黒測定の課題と漆黒測定を可能にしたBYK-Gardner社製spectro2guide Proおよびcolor2view Proについて、詳しく紹介いたします。

