光沢測定の限界(測定機器コラム)

6.1 曲面の光沢測定

一般的な光沢計は、基本的に平面の測定を目的に設計されています。
しかし、表面が凸面や凹面になっていると、光の反射方向がレンズや鏡のように変わってしまい、正しい光沢値が得られなくなります。
ただし、曲率が非常に緩やかな場合は、ある程度の許容範囲内であれば比較測定が可能です。1970年代に行われた調査では、曲率半径が約50〜80 cm以上の範囲であれば、誤差は5%未満に抑えられることが示されています。
もちろん、この誤差は材質や光沢度、形状によって大きく変わります。特に、光沢度が高いほど曲率の影響が大きくなる傾向にあります。また、光沢計の傾きも結果に大きく影響するため、位置決め用治具(固定具)の使用をお勧めします。

6.2 テクスチャー(凹凸)表面の光沢測定

光の反射率や光沢は、試料表面の物理的特性との相互作用に基づいており、その光の反射強度は、材料の特性と照射角度によって変化します。
従来の光沢計は、屈折率が規定された黒色ガラス標準板からの反射光量を基準としていますが、表面の凹凸構造や3D形状による複雑な光沢の変化は考慮されておりません。
そのため、テクスチャーのある表面では正確な評価が難しくなります。

新しい spectro2profiler のアプローチ

新しい spectro2profilerは、フォトメトリックステレオ技術を用いて、表面の法線を推定し、表面の3D形状を算出します。

• 異なる方向から光を当てて表面を観測することで、表面法線を算出します。
•「シェーディングから形状を推定する技術」を用いて表面曲率を算出し、対象物の高さマップを再現し、その結果、測定対象物の表面の真の3Dトポグラフィーを取得します。

つまり、従来の光沢計では捉えられなかった凹凸や複雑な質感を、3D計測として正確に測定出来るようになったということです。

6.3 光沢の空間的なばらつき

光沢の測定では、影が出来たり測定器では検出出来ない領域が生じたりすると、正しい鏡面光沢値が得られません。
さらに、人が感じる光沢は鏡面反射だけでなく、鏡面反射面(強い反射)と拡散反射面(弱い反射)のコントラストにも左右されます。
従来の光沢計では、革のような凹凸のある表面で見られる「反射率の高い丘」と「反射率の低い谷」が入り混じったような複雑な反射パターンを捉えることができません。

新しい spectro2profilerは、カメラベースの技術を用いて表面反射の空間分布を捉える技術を備えています。インライン照明システムにより、影の影響、測定器から見えない部分が生じる、遠近歪みといった問題を取り除くことができます。
そのため、表面の向きに影響されず正確な測定が可能になります。
カメラは表面の2D反射画像を取得するため、表面の反射分布をより詳細に分析できるようになります。

物体の見た目を正しく評価するには、表面の凹凸構造(3D)と反射特性(2D)を並行して測定する必要があります。
なぜなら、人間の目は2次元の情報しか受け取れないため、人間の視覚系は陰影や反射を手がかりに脳内で3次元形状を再構築しているためです。
つまり、凹凸構造で知覚される奥行きは、丘面と谷面の反射コントラストによって、「凹凸の深さ」として知覚されます。

spectro2profilerは、3D形状と 2D反射率データの取得に同じカメラとレンズシステムを使用するため、両方の測定原理のデータを組み合わせて丘と谷の反射を分離して評価する事ができます。その結果、丘と谷の反射コントラスト=人が感じる凹凸の深さを定量的に評価できるようになります。